黒燦々 鬼頭正人展
期間:2016年10月16日(日)〜23日(日)
11時~19時00分
父はごちゃごちゃした古道具屋を営んでいた。
鬼頭先生は、時折、店に寄っては話をしておられ、今では一番古い当店のお客様のお一人です。
眼光鋭い風貌はダンディーで強い個性の為かちょっと近寄り難い感じさえする。
後年、アメリカで永らく活動しておられた画家だと知らされた。
「キトウブラック」と名付けられた黒はお母様が入院した病院の帰り、車窓から見た淡いシルエットに浮かぶ富士山。
強烈なインスピレーションを受け、1998年に発表。
幾何学形の黒い富士山、「ブラックフジヤマ」の始まりだった。
昨年は奥様が亡くなり、この頃キャンバスに向かうことが多くなったとおっしゃる。
80歳を前に今、自然と素直に対話できるようになったと言う。
風、空、光、花、なんでもが愛おしいと。
ギャラリー壽庵 猪鼻徳壽
自身の作品について
1953 から現在に至るまで、自身が変わらず持ち続け貫いて描いて来たもの、それは時代時代の中で、ある時は"色彩" という世界、"風や空間、音"と言った目には見えないもの、そして"月、山、花"と言った形あるものを通して、そこに見えざるものを見、聞こえざるを聞き、その中から自身が感じたものを"独自の技法" によって描いて来たと言う事である。
それらは、時により"モノクロームの世界" 、さらにそこに凹凸 を描き出した"風紋" シリーズ、モノクロームの世界から繊細かつ抑制した色使いの中に風を想わせる"風からのメッセージ"シリーズ、富士山という広大、崇高な山を自身の想いと共に黒の幾何学の世界に描き出した"ブラックフジヤマ" シリーズ、そしてさらに変化し続けていったものが現在の"花のある風景" シリーズである。
そして今だ画面は自身の精神と共に変化、発展し続けている。
自身にとって作品(自身)を語る事は何ら不可能に近い事であり、それはむしろ無意味な事である。
言い換えれば、皆様が自身の作品に向き合って頂いた時、はじめてそこに自身の想い、メッセージを感じて頂けると信じ、それは各々の感じ方により様々である事が自身の願うところである。
鬼頭 正人