以織窯一門展
会期:2016年11月26日(土)から~12月4日(日)
時間:11:00〜19:00
〈以織窯のある日〉
今日は月に一度の少白絵師の来訪日。
山里の庵のなかで筆を握る絵師の傍らで、
自作の茶盌を点検しながら手渡すのが正樹。
母屋の工房では乾燥したばかりの
大きな生素地の鉢を抱えた加津子が
春ジオンの花を彫っている。
隣でブツクサ独り言をいいながら
石粉を計量している窯主の以織は
今度も釉薬を変えるらしい。
褒めて言えば
「常なる前進」
実態は
「丁度良いところを行き過ぎ爺」
との評がある。
以織氏は修行僧のように
毎日ロクロに向かい作陶する
ゴロゴロ ゴロゴロ
手の中より生まれる茶碗を滋しむように
だんだん無心になって行く
精神の高まりが茶碗の姿になり
喫する人の喜びとなる
ゴロゴロ ゴロゴロ
茶碗という不思議な宇宙に込められた
謎解きの旅はまだまだ尽きないのだろう
壽庵 猪鼻徳壽
〈以織窯陶工〉
■野口 以織(のぐちいおり)
1950年、群馬県桐生市生まれ。36歳の頃陶工を志し、5年後、現在地・秦野市蓑毛に「以織窯」築窯。54歳から井戸茶盌研究にのめり込み、2012年初個展「以織井戸展」を、ここギャラリー壽庵にて開催。以後毎年作品展を開く。
■小宮加津子(こみやかづこ)
1947年、神奈川県秦野市生まれ。以織窯を支え続ける女流陶工。
■小宮 正樹(こみやまさき)
1973年、神奈川県小田原市生まれ。加津子の長男。独立した窯を持つが、少白絵師の下地づくりに参加。
〈客分絵師〉
仲森智博(なかもりしょうはく)
1959年生まれ。画号・少白。本業は編集者、ジャーナリスト。幼年期より日本画家に師事、19歳で現代水墨派展入選。以降、師の逝去により画業を離れるが、昨年から以織窯にて陶磁器の絵付け作品の製作、ギャラリー壽庵を中心に発表している。